しんとらの雑記帳

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18-19シーズンを振り返る

0 はじめに

 18-19シーズンも残りわずか、今シーズンを振り返りつつ、来シーズンがどのようなシーズンになるか書き残したいと思います。以下敬称略です。

 なお、ルール改正の影響については既にブログに書きましたので、あわせて参照いただければと思います。

shintorasports.hatenablog.com

 

1 男子

多回転

GOEの減点幅が増えたため、少なくとも着氷につなげないと点数的な旨みはないですが、逆に言えばGOEマイナスにならないようにできるのであれば、組み込む種類・回数が多い方が有利であることに変わりはありません。ソチでは1種類、ピョンチャンでは2種類組み込む選手が多かったように記憶していますが、これからは3種類以上組み込む選手が増えてくるのではないかと思います。ただし、リスキーな技である以上、完成度の高いジャンプで対抗することは可能だと思います。ここは各選手の戦略と状態によるので、蓋を開けてみないとわかりません。

 

全体のレベルの底上げ

2019年世界フィギュアでは、73.63がFP進出ラインとなり、過去最高となりました。もちろん、採点方式の変更など一概に比較はできないのですが、中堅選手のレベルが上がっていることは間違いありません。GPSの激しい争いが予想されます。

 

SP・FP

SPをまとめてくる選手が多い一方で、FPは崩れてしまう選手が多かったように思います。4分に短縮されたとはいえ、多回転をこなしながらプログラムを完遂する難しさを感じました。FP次第で大きく順位が変わりうるというのは、世界ジュニア男子で顕著でしたし、今後も変わらないような気がしています。

 

2 女子

上位陣

ロシア、日本、アメリカの三強に、ツルシンバエワと韓国勢が争うという構図は、来季も変わらないでしょう。ロシア、日本ともに国内の争いが大変激しく、どの選手が世界選手権に出るか分からないほどです。来季はシェルバコワ、トゥルソワ、コストルナヤがシニアに参戦し、ユヨン(つい最近の大会で3Aを決めました)・イェリムもGPSに参加が決まっています。GPSはあくまでも前哨戦、本番はシーズン後半のナショナル、チャンピオンシップになるでしょうから、各選手ピークをどこにもってくるかが課題とナリそうです。

 

多回転

今シーズンは紀平・細田・トゥクタミシェワ・ユヨン・アリサリウの3A、トゥルソワの4T、ツルシンバエワの4S、シェルバコワ・トゥルソワの4LzがISU公式・非公式大会で見られました(抜けありましたらすみません)。ロシア・日本ではすでに数選手が3Aないし多回転の挑戦を公言しており、女子でもプログラムに多回転を導入するようになってきています。これらの選手は3回転ジャンプを難なくこなし、GOEをとれる状態で多回転を入れているため、TESのアドバンテージがかなり大きいです。後半ジャンプのボーナスも減っていますし、PCSの上限が80であることから、多回転なしの選手は厳しい試合展開を強いられると思います。ただしミスはつきものですから、極めた完成度とPCSでの対抗は有効でしょう。

 

ユーロ勢の台頭

フィンランドのリンドフォースがヨーロッパ選手権で3位、ベルギーのヘンドリクスがネーベルホルンで200点越えの3位と、ユーロ圏の新たな才能の躍進が見られました。ヨーロッパ選手権、世界選手権を見ましたが、ユーロ選手の全体のレベルが上がっていると感じました。来季どのような活躍を見せてくれるか楽しみにしたいと思います。

 

3 ペア

上位陣

ペアはサフチェンコ・マッソ組の休養、デュハメル・ラドフォード組の引退と、ピョンチャンメダリストが2組欠けたシーズンとなりましたが、依然としてロシア・中国のカップルが強く、そこにフランスのジェームズ・シプレ組が加わって上位争いをしている状況です。来季もこの傾向は変わらないと思いますが、世界選手権の中国の枠が1枠増えたので、より激しい争いになりそうです。

 

多回転

ペアでは多回転の導入は進まず、完成度の高さを極める方向に進んでいます。世界選手権のプロトコルから明らかなように、SBSが決まるかどうかと、ペアエレメンツのGOEが順位に大きな影響を与えています。2022年の五輪までこの傾向が続くかは不明ですが、よほどの事がない限りは「完成度」勝負になるでしょう。

〈参考〉

http://www.isuresults.com/results/season1819/wc2019/data0305.pdf

 

4 アイスダンス

上位陣について

ピョンチャン金のヴァーチュ・モイア組が引退し、銀のパパダキス・シゼロン組が独走しています。一方で表彰台争いが大変激しく、アメリカ・ロシア・カナダのカップルに、イタリアのギニャール・ファブリ組が加わり、スリリングな試合展開が繰り広げられています。上位陣はレベルの取りこぼしがほとんどなく、採点方式が変わったのが今シーズンにもかかわらず、すでに天井が見えかけています。今後どのような採点方式になるかは不透明ですが、圧倒的な完成度が求められることになりそうです。

 

自由度

今シーズンのルール改正により、ChSlなどの新しいエレメンツが追加され、ステップの一つがOFStになったことで、より各カップルのオリジナリティが出せるようになったと思います。アイスダンスはシーズン毎に、新しいムーブメントが開発されるので、来季はどんなムーブメントが見られるか楽しみです。また余談ですが、チャンピオンシップに出場してくるカップルは音への意識がとても高く、プログラムを見ていて圧倒されます。いろいろなカップルの演技を来シーズンも見ていきたいです。

 

5 おわりに

ルール改正が行われ、どのカテゴリーでも試行錯誤がなされたシーズンでしたが、新たな技への挑戦や、完成度の追求といった方向性が見えたシーズンになりました。すでに選手は来季に向けて始動しています。さらなる成長・進化をしっかり見届けましょう。