大分遅くなりましたが、テストスケートの所感を述べていこうと思います。
ワリエワ
SP
エレメンツに関しては問題なしですね。スピードが素晴らしいです。少し気になるのは、冒頭が音楽に比して動きがやや多いのと、StSqと音楽との一体性が感じられないところ。ジュニア1年目なので、そうした部分はここからでしょう。
FP
テストスケートという非公式な場でありますが、4Tを決めてきました。JGPFへは視界良好です。前半と後半で大きく音楽の展開が変わるのですが、それが感じられないのが少し残念。贅沢すぎるリクエストですが。
ウサチョワ
SP
柔らかなタッチのスケーティングが素敵です。後半のボーカルの部分の表現も若干ではありましたが見られました。前半と後半の対比をうまく見せられるかが課題となりそうです。
FP
ウサチョワはフリップに癖があるので、そこをどのように対処するかがシーズンの注目ポイントですね。ジュニア1年目に「Je suis malade」をやらせる? 表現が一本調子に感じました。
フロミフ
SP
いい出来です。JGPに派遣されてもおかしくないレベルまできています。
FP
落ち着いたスケーティングと、長い手足が映える演技に好感が持てます。スピンの処理がやや雑、いいものを持っているのできっちりこなしてくれば上位が見えると思います。
フロロワ
SP
適切なエレメンツ配置だと思います。ややスピードが足りない気がしますが、上出来です。
FP
膝の柔らかさを生かしたジャンプの着氷が魅力的です。表現はまだまだ物足りない印象を受けます。
シニツィナ
SP
派手さはないけれども、自然で美しい流れのある演技です。他の選手のStSqはややちまちました印象を受けますが、シニツィナのStSqはターンを踏みながら進んでいくのがいいですね。インパクトをどこかに求めたい。
FP
今年は表現にも少し力を入れているように見えますが、まだまだやれると思います。StSqの動きにもっとメリハリが出てくればさらに映えるでしょう。後半はエレメンツをこなしているだけに見えるので、化けに期待。
カニシェワ
SP
静かな曲調ですが、動的なStSqがいいアクセントとなっています。技術面はほぼ問題なしです。パノワからエテリに移って間もないですが、大分変わった印象を受けました。時間が経てばより変化が見られるのでは?
FP
ジャンプは改良途中で、回転がタイトですね。今年からエテリの元に移籍しましたが、以前感じた「小物感」はそれほど感じません。カニシェワもシーズンを追うごとに魅力が増していくのではないかと予想します。
タラカノワ
SP
これほどパワフルなStSqができるジュニア女子選手はなかなかいません。今回気になったのは、体幹に影響を与えるような体勢が、プログラム中にあまりみられなかったこと。ここがPCSにどう響いてくるのか。
FP
これまでのタラカノワは暴れ馬的な野性味が魅力的な選手でしたが、今シーズンはコントロールに重点を置いているように見えました。なかなか面白い選曲で、表現の意思も見えるので、シーズンインが楽しみです。
ワシリエワはFP棄権したので感想はなしです。
総括
SPの出来はどの選手もよいですが、FPはプログラム構成含めまだ仕上がっていない選手が多いように感じました。また今年のテストスケートを滑った選手は、「2Aが苦手なロシア女子」という概念を感じさせないほど、素晴らしい2Aを跳んでいました。もはや苦手なエレメンツがあることが許されない時代になったことを感じさせます。エテリ組は足の振り上げ動作が他の国・チームと比べてかなり多く、過剰に感じましたが、ここらへんは好みでしょう。今年もJGPでロシア女子が暴れることは間違いないと感じたテストスケートでした。