はじめに
シングルを見てきた方はおなじみのジャッジスコア。とはいえ、カップル競技のプロトコルの読み方となると…という方も多いのではないでしょうか。今回は必須要件の確認も兼ねてジャッジスコアに何が書かれているかを見ていきます。
なお専門用語がバンバン出てきますが、以前の投稿に基礎的なエレメンツの説明があるので、そちらを参照ください。
*基礎点
https://www.isu.org/inside-isu/isu-communications/communications/21210-2253-s-p-sov-2019-20/file
SP
演技動画
1 3S ⇒サイドバイサイド(略称SBS) の3回転サルコウ
ジュニアに限り、跳ぶ種類の制限がある(19-20シーズンは2Loまたは2A)。
#ペアを超単純に見る
— しんとら (@shintora_sports) 2016年11月22日
①SBS(サイドバイサイド)
二人が同じジャンプを同じタイミングで跳ぶもの。ジャンプの基礎点はシングルと同様。3T/3Sを取り入れる組が多いが、セガビロが3Lo、デュハラドが3Lzを入れるなど、近年は高難度のジャンプを入れる組も。
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①SBS(サイドバイサイド)
注目ポイント:ジャンプの質に関してはシングルと同様、それに加えて二人がシンクロしているかが大事。 pic.twitter.com/r44xexC1sa
2 3Tw4 ⇒3回転ツイストレベル4
〇Tw■の形で表記され、〇には回転数、■にはレベルが入る(B~4)。SPでは2回転か3回転、FPでは4回転まで可能。
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②Tw(ツイスト):男性が女性をほぼ真上に投げてキャッチする要素。 pic.twitter.com/w5IVclEgil
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②Tw(ツイスト)で一番問題になるのはキャッチ。よいとされているのは、「女子の(両)手,(両)腕,上体のいずれの部分も男子に触れることなく男子がウエストの側面で女子をキャッチ」するもの。抱え込むようなものは✖。 pic.twitter.com/rvhmYWahfe
3 3LzTh⇒スロー3回転ルッツ
シングルと異なり、3FTh/3LzThの基礎点は一緒。
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③Th(スロウ):男性が女性を真上ではない方向になげる要素。
シングルと違い、3F/3LzThの基礎点は同じ。幅、高さに注目。 pic.twitter.com/Irxwkok7kX
4 BiDs4⇒バックインデススパイラルレベル4
〇■Ds◇の形で表記され、〇にはフォーワード(F)かバック(B)かが、■にはイン(I)かアウト(o)かが、◇にはレベルが入る(B~4まで)。組み合わせはFi、Fo、Bi、Boの4種類で、今シーズンSPはBiDsが必須エレメンツに規定されている。
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⑥デススパイラル
注目ポイント:難しい出入があるか、ポジションが「低い」か
*レベル要件の都合から、大体の組が3回転する。
*カップルによって出入に独創性、個性がでるので、そこに注目してみると楽しめるはず。 pic.twitter.com/Vkh6tN1p0K
5 5RLi4⇒グループ5、リバースラッソーリフトレベル4
〇■Li◇の形で表記され、〇にはリフトの分類により1~5が、■はグループ5の時に限りT(トウラッソー)、S(ステップラッソー)、A(アクセルラッソー)、B(バックワードラッソー)、R(リバースラッソー)が記され、◇にはレベルが入る(B~4まで)。リフトの詳細についてははじめにに記されたリンクを参照。
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⑤リフト
総論その2:どこを見るか
【男性編】片手で女性を支えているか、回転方向が変わっているか
【女性編】ポジション変更があるか、ポジションが難しいものか
【全体】出入に工夫があるか pic.twitter.com/fLBcOOGtRe
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— しんとら (@shintora_sports) 2016年11月22日
⑤リフト各論
これについてはスケ速さんに記事がありますので、こちらを参照ください。
【https://t.co/imYZuSH2vD】
またgroup3とgroup5については、動画もあります。【https://t.co/RDyEDupx56】
6 StSq4⇒ステップシークエンスレベル4
7 FCCoSp4⇒フライング足かえコンビネーションスピンレベル4
ペアにはソロスピンコンビネーション(下図B)と、ペアスピンコンビネーション(下図A)がありますが、今シーズンはスロスピンコンビネーションがSPの、ペアスピンコンビネーションがFPの課題です。
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④スピン
A)二人が接触して行うスピンと、B)接触しないで行うスピンに分類可能。今期はSPがB)、FPはA)、B)の2種類が規定要素。スピンもまた二人がそろっているかがポイントで、ずれることもしばしば。
*添付左がA)、添付右がB) pic.twitter.com/S8IaUyEa2P
FP
演技動画
1 3Tw4⇒3回転ツイストレベル4
2 3T+2T⇒サイドバイサイドの3回転トゥループと2回転トゥループのコンビネーションジャンプ
FPでは2回のサイドバイサイドのうち、一方はコンビネーションジャンプにしなければなりません。3連続ジャンプも認められています。
3 3STh⇒スロー3回転サルコウ
4 BoDs4⇒バックアウトサイドデススパイラルレベル4
5 PCoSp3V⇒ペアスピンコンビネーションレベル3V
SPとのプロトコル上の違いは、冒頭に"P"がつくかどうかです。
6 2S⇒サイドバイサイドの2回転サルコウ
7 5ALi3⇒グループ5、アクセルラッソーリフトレベル3
8 3FTh⇒スロー3回転フリップ
9 ChSq1⇒コレオシークエンスレベル1
レベル1とありますが、コレオシークエンスはレベル1しかありません。
10 5RLi4⇒グループ5、リバースラッソーリフトレベル4
11 3Li4⇒グループ3リフトレベル4
おわりに
エレメンツを大きく区分すると、
①SBS(サイドバイサイド) :SP1、FP2
②Tw(ツイスト) :SPFP各1
③Th(スロー) :SP1、FP2
④スピン:SP1、FP1
⑤リフト:SP1、FP3
⑥デススパイラル:SPFP各1
⑦StSq(SP)・ChSq(FP)
となります。SPは7つの、FPは11つのエレメンツをこなし、基礎点とGOEの合計で
TES(技術点)が決まります。実際の演技からだけでなく、ジャッジスコアから新たな面を発見することもあります。ぜひジャッジスコアに目を向けてみてはいかがでしょうか。