0 はじめに
今回扱うツイストリフトは、男性が女性を頭上に高く投げて、回転し終えて降りてくる女性を再び受け止める技です。ペアにしかないエレメンツで、SPでは女性が2~3回転、FPでは4回転まで許されています。リフト同様にツイストリフトもレベルBからレベル4までのレベルが実施に応じて付されます。今回はレベル判定にまで踏み込んで、ツイストリフトを研究したいと思います。
2 基礎点とGOE
チャンピオンシップクラスに出場する選手はトリプルツイスト(3Tw)をSP・FPに入れます。中国のスイハン組はFPでは4Twに挑戦しています。意外と3回転と4回転の点差はありません。
ツイストはレベルを取るのが難しいエレメンツで、Bが4組、Lv1が7組、Lv2が17組、Lv3が22組、Lv4が11組(2017年GPS、2018年ユーロSP)となっています。このエレメンツでいかにレベル、加点を取るかが、ペアSPの重要なポイントになります。
3 レベル要件
一つずつ見ていきましょう。
1) 女子のスプリット姿勢
動画 (0.25速でご覧ください)
静止画
サフチェンコ・マッソ組
スイ・ハン組
ボイコワ・コズロフスキー組
カメラのアングルが悪いと、映像から確認するのは困難です。また通常スピードで45度以上開いているか判断するのも困難です。
2) 男子が女子のウエスト側面をキャッチする.女子の手も腕も上体も男子に触れてはならない。
よいキャッチの例
タラソワ・モロゾフ組
サフチェンコ・マッソ組
ボイコワ・コズロフスキー組
よくないキャッチの例 (男性の肩が女性の上体にふれている)
キャッチはレベル要件であるとともに、GOE要件の一つでもあるので、その成否はツイストリフト全体の得点に関わります。通常スピードでの判断も容易なので、ツイストリフト実施の際にはその高さに加えて、キャッチにも注目してみると面白いと思います。
3) 空中の女子は,腕を頭の上まで上げなければならない(1回転以上)。
現在、メジャーな選手でこれを取り入り入れているのは、スイ・ハン組とボイコワ・コズロフスキー組です。昔シングルでもタノジャンプがGOE要件の一つであったように、ペアではツイストリフトのレベル要件の一つにあげられます。
4) 難しいテイクオフ:ターン、ステップ、動き、小リフトから続くテイクオフで、流れるように行われなければならない。
ツイストリフトに入る前に、なんらかの動作が組み込まれていれば、それはレベル要件を満たすためのものです。
5) 女子をリリース後、男子の両腕はまっすぐ/ほぼまっすぐで、肩以上の高さまで上がらなければならない。
ちょっとわかりにくいので、ハンドブックで詳細を確認しましょう。
タラソワ・モロゾフ組
4 GOE要件
プラス要件
マイナス要件
5 おわりに
ツイストリフトはわずかの時間で様々なレベル要件をこなさなければならないので、非常に難しいエレメンツだといえます。高さや要素前のステップなどに注目すると、そのカップルの個性が見えてくると思います。
(参考例)おもしろい降ろし方
パヴリュチェンコ・ホディキン組