ツルスカヤの引退に寄せて
2時間ほど前に、ツルスカヤが自身のインスタグラムで、現役から引退するという旨の投稿をしました。17歳という若さでの引退ですが、彼女が観客に与えたインパクトは非常に大きかったと感じています。
自分とツルスカヤの出会いは2014年です。
とんでもないジャンプを跳ぶ選手が出てきたというのが第一印象で、このシーズンの後半からは、ディレイジャンプを試み始めたと記憶しています。ノービス離れした才能との邂逅で、またロシアから世界を席巻する選手が現れたと確信しました。
続く15-16シーズンにJGPデビュー。開幕戦のブラチスラヴァ大会は、多くのフィギュアスケートファンの記憶に残っているかと思います。
冒頭の3Lz-3Tは、現役を通して三本の指に入るくらい素晴らしいもので、特に3Lzのディレイが凄い。そしてスケーティングの大きさ、存在感、まさに「ラスボス」の登場でした。
FPは前シーズンからの持ち越しのChess。後半に6ジャンプを跳ぶという、当時ではかなり珍しい構成をとっていました。ツルスカヤといえば、Chessをあげるファンも多いと思います。このシーズンはほぼミスがなく、JGPF、ユース五輪で金メダルを獲得、残念ながら世界ジュニアは棄権でしたが、ツルスカヤというスケーターを全世界が認知したシーズンだったと思います。
16-17シーズンのSPは、ツルスカヤの人間離れしたイメージを最大限に引き出した、傑作だったと思います。
このシーズンはJGPを連勝した後、JGPF、ロシアナショナルを欠場、ジュニアナショナルで3位に入り、初の世界ジュニアに出場。ミスが続き10位に終わりましたが、その後怪我で深刻な状態にあったことが報道されました。
17-18シーズンは、ファンとしては、怪我からの回復を祈りつつ、平昌出場を願うシーズンでした。NHK杯では素晴らしいプレゼンテーションをしたと思っています。
このシーズンのFP冒頭、"Love is beautiful"は、同門のメドベデワの"カンウェン"と並び、スケートファンの話題になったと記憶しています。ロシアナショナルでは5位で、残念ながら平昌五輪出場はなりませんでした。そしてこの年を最後に、エテリからブヤノワにコーチ変更をしました。
18-19シーズンは、期せずしてツルスカヤ最後のシーズンとなりました。
スケートアメリカの2Aは本当に素晴らしかった。
ラストシーズンは思うような演技ができなかったのではないかと推察していますが、怪我の影響があったと思わずにいられません。
若き才能がスケートの舞台に別れを告げます。が、それはまた新しい舞台への挨拶でもあります。まだ人生は長いのです。彼女の今後に幸多からんことを願っています。