しんとらの雑記帳

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エレーナ・ラジオノワが駆け抜けた4年間

仰々しいタイトルの割に、内容があれなのはご愛敬。

 

五輪選考をかけたロシアナショナルが終わり、エレーナの五輪出場が厳しくなりました。まだ彼女の今シーズンが終わるかはわかりませんが、このタイミングで記事を投稿したいと思います。

 

スタートはソチ五輪シーズン、ゴールは今シーズンのロシアナショナルで、シーズンごとに振りかえる形をとりながら、この4年間の軌跡を追っていきたいと思います。

 

①ソチシーズン(13-14)


2013 NHK Elena Radionova SP B.ESP


Elena Radionova 2013 NHK FS 'Frida'

 

このシーズンは、ジュニアワールド優勝選手としてのぞんだ、シニアデビューシーズンでした。当時はJr2年目でもシニアのGPSに出れたので、まだ14歳です。

NHK杯2013で、初めてエレーナの演技を現地で見たのですが、なんて元気で楽しいパフォーマンスをするんだろうと驚いた記憶が今でも残っています。もちろんエレーナのことはこの前から知っていたのですが、一層エレーナの演技を好きになったのはこの時です。特にFPのフリーダは今でも一番好きなプログラムですし、後半の高揚感はこの先忘れることのない大切な時間です。

 

年齢規定で五輪出場はかないませんでしたが、ジュニアワールド連覇を果たしました。これは女子シングルの選手では初めての偉業です。

 

②14-15シーズン


Elena Radionova. 2015 Figure Skating European Championships. SP

 


Elena Radionova - 2015 European Figure Skating Championships - Free Skating

 

エレーナにとってシニア2年目、飛躍のシーズンを振り返ります。

このシーズンはとにかく安定していて、ほとんどミスがありませんでした。詳細は過去に全演技のTESと動画、プロトコルをまとめた記事をご覧ください

ameblo.jp

その中でも印象に残っているのは、ユーロのFPです。多分2番目に好きな演技になると思います。多彩な表情、ChSqからLSpの一連のムーブメント、あらゆる表現が魅力的で、前年とは違った魅力を引き出したプログラム。衣装は2パターンありましたが、ストーンがついているほうが好きでした。

 

今演技を振り返ってみると、前年よりも後半の密度が上がったシーズンだなと。このシーズンはロシアナショナルも制し、エレーナの安定感と強さを知らしめたと思います。

 

③15-16シーズン


2016 Russian Nationals - Elena Radionova SP ESPN


2016 Europeans - Elena Radionova FS NBC

 

このシーズンも安定していたと思います。

SPについてはエレーナにとっては挑戦のプログラムで、今までにやったことのない路線で表現開拓をしようとしていたと考えています。FPのセリフ入りも印象的。あとはガッツポーズの多いシーズンだったと思います。エレーナは演技後ガッツポーズをすることが多いのですが、このシーズンは特に笑顔であったり感極まった表情で演技を終えていたと記憶しています。

www.youtube.com

今改めて演技を見て、ステップ面での進化が凄いと感じます。体の動きとスケーティングが調和してきて、連続性が出てきたと。

 

世界選手権は6位で終えましたが、エレーナの演技が悪かったというよりも、周りの演技、技術の質が高まったためだと考えています。このシーズンで、どのジャンプでもしっかり加点を稼ぐことの重要性、この点がエレーナのウィークポイントであることが浮き彫りになったと思います。

 

④16-17シーズン


Elena Radionova SP 2016 Rostelecom Cup


Elena Radionova FS 2017 Russian Nationals

 

五輪プレシーズンは、どちらかというと忍耐のシーズンだったと思います。

得意なジャンプのはずの3LoがなかなかFP後半で決まらないことからも、成長した体とジャンプがなかなかかみ合っていなかったことが分かるかと。ただ後半に5つジャンプを配置する挑戦もしていたわけで、この点は忘れていけないと思います(いままでは前半に3つ、後半に4つの構成)。結果としてワールドへ出場することはできませんでしたが、GPSでは優勝しましたし、根性、粘り強さを示してくれたシーズンだったと記憶しています。

 

余談

www.youtube.com各大会若干異なっているのですが、2AからStSqは大体同じタイミングで実施しています。StSqの音ハメを外さない気概を感じることができるのではないかと思います。

 

⑤平昌シーズン

 

 


CoC 2017 Elena RADIONOVA SP


CoC 2017 Elena RADIONOVA FS

 五輪シーズンにコーチ変更は大変な決断だったと思います。何かを変えたいという思いからでしょう。

ナショナルに向けて、だんたんと調子を上げていることが分かるシーズンでしたし、ナショナルではこの1年で成長、改善できた部分を示してくれました。ただ少し時間が足りなかったというのが正直な感想です。もう少し時間が欲しかった…。

 

 

この4年間の演技を連続してみると、エレーナの成長した部分が明確に分かって、どの1年も無駄ではなかったなと改めて感じます。もちろん1試合1試合で見てみると改善点やミスに目が行きがちではあるのですが、1シーズン、あるいは4年間というロングスパンでとらえたときに見えるものは少し違うものだと、この記事を書きながら感じています。1試合1試合をあまり深刻にとらえすぎないのもファンにとって(もちろん自分も)必要ではないかと。

 

最後に、エレーナはどの試合も全力投球で、まさに駆け抜けた4年間でした。エレーナ、4年間お疲れさまでした、そしてたくさんの好演技をありがとう。