ペアのルールと得点目安 FP編
A はじめに
FP編です。SP編で説明したことは省くので、SP記事を読んでいない方はそちらも是非。
B SPとFPの違い
FPではStSqがなく、基礎点固定のChSqがあらたに加わる。
#ペアを超単純に見る
— しんとら 休養中 (@shintora_sports) 2016年11月22日
ジャンプ系統のエレメンツ(①SBS、②Tw、③Th)と、その他のエレメンツ(④~⑦)の基礎点が大体1:1になる。これがシングルとの大きな違いで、ジャンプの転倒や抜けよりも、リフトのノーカウントの方がダメージ大きい。
C エレメンツ
(1)リフト
ほとんどの選手が、Group5リフト2つとGroup3or4リフト1つの構成をとる。Group5リフトの種類、見分け方は以下を参照。
5BLiを5RLiあるいは5ALiの代わりに入れるカップルもいる。リフト単独の採用率は5ALi、5RLi、5BLi、5TLi=5SLiの順で、5ALiと5RLiは8割以上のカップルがプログラムに組み込んでいる。また多くのカップルがLv4を獲得しているのも特徴で、GOEの差が重要となる。
(2)デススパイラル
21-22シーズンはSPでBoDs(バック)が指定なので、FPではFiDsまたはFoDs(フォア)を採用しなければならない。FiDs4が3.8点、FoDs4が4.7点とFoDsの方が基礎点が高いが、FoDsを採用するカップルは稀。レベルが取りづらいエレメンツで、Lv4が全体の25%ほど、Lv3が全体の40%ほど(17-18シーズン)。
(3)スピン
二人がくっついて行うスピンがFPでは必須。PCoSpは約50%のカップルがLv4、Lv3までに大体のカップルが収まる(17-18シーズン)。差がつきにくいエレメンツで、そつなく行うことが重要。
(4)SBS
SPでは成功させるカップルが多いが、FPではミスするカップルが多い。FPで一番差がつくエレメンツで、ここを成功させるかが上位にいけるかの一つのカギとなる。ほとんどのカップルが3Tと3Sの組み合わせで、3Loや3Lzを採用するカップルは全体の10%以下。ごく稀に2A-1Lo-3Sや3T-3Tを採用するカップルもいる。近年ロシアのトップカップルが3S-1Eu-3Sを採用したり、ジュニアのカップルが3Lz-1Eu-3Sを取り入れいるなど、高難度化が進んでいる。
(5)スロージャンプ
このエレメンツも比較的差が付きやすい。4SThがわずかに見られるが、ほとんどのカップルは3回転のスロージャンプを2つ入れている。4STh(基礎点6.5)も質が高くないと、3LzTh(3FTh、基礎点5.3)の加点付きとそれほど点差が出ない。シングルほど4回転のうまみが多くないのも、ペアの特徴といえる。
(6)ツイスト
もともとレベルが取りにくいエレメンツであることに加え、FPでは4回転ツイストが解禁されるため、差がつきやすいエレメンツである。またキャッチがうまくいかず、GOEマイナスを受けるカップルも多い。Lv3をとるカップルが全体の40%ほどで、Lv1、Lv2をとるカップルが40%、Lv4をとるカップルは15%もいない。
(7)ChSq
基礎点が3.0と固定、GOEでの評価だが、正直ほとんど差がつかない。
(8)小括
差がつくか否かを観点に、ペアのFPエレメンツを分類すると以下のようになる。
差がつきやすい:(2)デススパイラル、(4)SBS、(5)スロージャンプ、(6)ツイスト
差がつきにくい:(1)リフト、(3)スピン、(7)ChSq
差がつきやすいエレメンツを成功できるかがFPの順位に大きく影響する。
D 得点目安(17-18シーズン準拠)
FPをノーミスで行うカップルはきわめて稀で、SPほど厳格な目安を提示することはできないが、観戦の一助となることを願って一応の目安を示したい。
(1)ノーミス
①一番多いパターン
5RLi4、5ALi4、3Li4/BoDs3/PCoSp4、FCCoSp4/3T-2T、3S/3LoTh、3STh/3Tw3/ChSq
GOE±0ベース⇒59.2。
GOE+1ベース⇒66.3
GOE+2ベース⇒72.4
②すべてLv4を獲得した場合
GOE±0ベース⇒60.1
GOE+1ベース⇒67.2
GOE+2ベース⇒73.3
③「とりこぼし」た場合
5RLi3、5ALi3、3Li3/BoDs2/PCoSp3、FCCoSp3/3T-2T、3S/3LoTh、3STh/3Tw2/ChSq
GOE±0ベース⇒55.8
GOE+1ベース⇒62.9
GOE+2ベース⇒69.0
TES50半ば(とりこぼしパターン、GOE±0ベース)、TES60~65、65~70(ノーミス、GOE+1ベース)、70~(ノーミス、GOE+2ベース)と大きく分けることができると思う。
(2)ミスあり
ミスが出やすいのはSBSとスロージャンプなので、この二つのミスを想定しながら以下試算する。
<転倒が2つ>
①一番多いパターン
GOE±0ベース⇒55.0。
GOE+1ベース⇒60.7
GOE+2ベース⇒65.4
②すべてLv4を獲得した場合
GOE±0ベース⇒55.9
GOE+1ベース⇒61.6
GOE+2ベース⇒66.3
③「とりこぼし」た場合
GOE±0ベース⇒51.6
GOE+1ベース⇒56.3
GOE+2ベース⇒62.0
<転倒が1つ>
①一番多いパターン
GOE±0ベース⇒57.1
GOE+1ベース⇒63.5
GOE+2ベース⇒66.8
②すべてLv4を獲得した場合
GOE±0ベース⇒58.0
GOE+1ベース⇒64.4
GOE+2ベース⇒67.7
③「とりこぼし」た場合
GOE±0ベース⇒53.7
GOE+1ベース⇒60.1
GOE+2ベース⇒63.4
E 結論
21-22シーズンに即していえば、
TOP10:120点台後半~130点台
TOP5:130点台後半
TOP3:140点台
優勝:150点台以上