しんとらの雑記帳

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22-23シーズンに初めて出会った選手ーBabeth HANSSON

 22-23シーズンもあと数日でおわり、新たなシーズンが始まります。私は選手の成長を追う楽しさと同じくらい、新しい選手と出会うことを大切にしています。今シーズンも多くの選手、とくにジュニアカテゴリーの選手を知ることができましたが、その一人を紹介したいと思います。デンマークのBabeth HANSSON選手です。

〈基本データ〉

youtu.be

 この大会はリアルライムで追うことはできていなかったのですが、公式Youtubeにアップロードされた動画の中で彼女と出会いました。あまりにも衝撃的で、当時のツイートにもその驚きとワクワク感がにじみ出ています。

 FPもおもしろいプログラムだと思いますが、今回はSPにスポットライトを当てて丁寧に見ていきたいと思います。

 最初にスピンから入る構成は、ジャンプの基礎点が後半に1.1倍になるときには多少見られましたが、現在ではあまり取り入れられていないように思われます。同じ音が鳴り響くパートに回転系のスピンを配置しているのがうまいです。スピンが終わって音楽が切り替わりますが、その部分もしっかり表現されています。

 最初のジャンプは既定のループジャンプ。入りの前にクリムキンイーグルがありますが、特筆すべきはジャンプの後の振付。ちょっと躓いた部分はあるけれども、ここまでいろいろな動作を組み込める選手はなかなかいないと思います。次のコンビネーションジャンプは着氷のタイミングとボーカルの入るタイミングを合わせて、華やかな演出。2Aを飛ぶ前にも、ユニークな動作を組み合わせて観客の心を離しません。2Aもボーカルのあるところでジャンプを跳んでいます。音楽のボーカルを氷上でどう表現するかについて、彼女はジャンプエレメンツでそれを試行したといえるでしょう。

 StSqから新しい音楽に切り替わるのですが、一瞬ポーズを決めて静止することで新しい音楽の到来を告げています。打音のみというかなり難しい部分を、多彩な上下運動、それも既存の振付ではあまりないような組み合わせで、彼女が音に色を与えているような印象を受けます。

 同じ音が連続する場面でスピンを取り入れ、音楽が切り替わるタイミングでスピンの難出を行う。レベルを取りながらも、それを音楽表現に巧みに組み込んでいるのが素晴らしいです。最後のスピンはうまく処理できないところがありましたが、スピンに入るまでの部分で小さなジャンプを複数取り入れることで音楽の明るい感じを表現しているのも見事です。

 基本に忠実な構成に、他の選手があまりしないような動作を数多く取り入れてプログラムを作り上げる、それが彼女の強みであり魅力であると感じます。インスタグラムの動画を通して、この彼女の個性は日ごろの陸トレが基盤になっていることを知りました。リンクを付しましたので、興味のある方はぜひ見に行ってください、とても面白いです。

https://www.instagram.com/figureskatingbabeth/

https://www.instagram.com/babeth.hansson/

 23-24シーズンも多くの出会いがあることを願ってこの記事を締めくくります。ご覧いただきありがとうございました。