しんとらの雑記帳

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ChSqは必須エレメンツたりうるか?

shintorasports.hatenablog.com

上記と関係する部分もあるので一応リンク貼っておきます。

女子はスパイラルシークエンス、男子はFPにステップ2つが必須課題でしたが、様々な変遷を経て、現在ではコレオグラフィック・シークェンス(以下ChSq)が基礎点2.0点固定のエレメンツとしてFPの必須要素となっています。今回はChSqが本当に必要なエレメンツなのか考えていきたいと思います。

 

まず、ChSqの定義について確認しておきたいと思います。

 コレオグラフィック・シークェンスは、ステップ、ターン、スパイラル、アラベスク、スプレッド・イーグル、イナ・バウアー、ハイドロブレーディング、最大2回転までのあらゆるジャンプ、スピンなどあらゆる種類の動作から構成されるコレオグラフィック・シークェンスに含まれるリストにある要素はコールされずボックスを占めない。パターンは制限されないが、シークェンスがはっきりと分かるものでなければならない。テクニカル・パネルは、コレオグラフィック・シークェンスが最初のスケーティング動作で始まり(そのコレオグラフィック・シークェンスがプログラムの最後の要素でない場合)次の要素の準備により終了したと判断する。コレオグラフィック・シークェンスは、ステップ・シークェンスの前後いずれに行ってもよい。コレオグラフィック・シークェンスは、シニアのフリー・スケーティングに含まれる。この要素には固定された基礎値があり、ジャッジのGOE のみで評価される。

*色文字は筆者が付したものである。

《出典》

https://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/2017hb-singles_ja_r2.pdf

 要するに、スパイラルやステップの明確な規定はなく、各自自由に様々な動作を組み合わせて一つのシークエンスを実施してくださいというものです。スパイラル、ステップ時代では技術面をみるエレメンツだったのが、現在では音楽との調和であったり、独創性などを評価するエレメンツとして位置づけられています。

【参考】GOEガイドライン

1) 流れがよく,エネルギーが十分で焦点の定まった演技
2) シークェンス中のスピード,またはスピードの加速が十分
3) 十分に明確で正確
4) 全身が関わり十分にコントロールされている
5) 独創的でオリジナリティがある
6) 無駄な力が全くない
7) プログラムのコンセプト/特徴を反映している
8) 要素が音楽構造を高めている

《出典》

https://www.jsfresults.com/data/fs/pdfs/comm/comm2089j.pdf

 問題は、現行ルールのChSqは「広義のTR」に過ぎなくなっているのではないかということです。そうであれば、わざわざ基礎点を設定してまで必須エレメンツにする必要はないのではないかと思うのです。TRで評価を反映すればいいからです。

 

ではChSqに制約を求めるべきかというと、それはそれで違うような気もしていて、ISUのこれまでの方針からみてもこの線はないでしょう。だとすると、ChSqをどうこうするかというよりは、むしろChSqを廃止して、選手の裁量でプログラムを工夫してもらう方が多様性、独創性をより出せるのではないかと思います。勿論、PCSでこれらをしっかり評価するということが必要なわけで、単なる技術点の問題として片づけられない部分もありますが、いずれにせよChSqの意義についてはもっと議論する余地があると感じます。

 

今回のルール改正では、この点については触れられていないので、改正される見込みはありませんが、今後どのような形になっていくか注目してみていきたいと思います。