アメリカに遅れること5ヶ月弱、日本でも「I, Tonya」が公開されたので観てきました。
【公式サイト】
〈英語版〉
〈日本語版〉
【予告版】
【10分プレビュー】
題が如く、トーニャ・ハーディングに焦点を当てた映画で、幼少期からナンシー・ケリガン襲撃事件の顛末まで描いた映画になっています。スケート映画ではないので注意。
まずは、トーニャ・ハーディングがどのような選手であったか、簡単に触れておきたいと思います。
・アメリカ人として初の3A成功者
・ナショナル優勝、ワールド2位経験あり
・高さのあるジャンプ、謎軸、アクセルの軌道が独特
《注意書》
この映画には暴力シーンや罵詈雑言が頻発します。その類が苦手な人には見ることをおすすめしません。また公開館が少ないので注意。
《内容と感想》
・幼少期は、ハーディングというよりも母親にスポットが当てっており、母親の「キツさ」が前面に出ています。(映画の中では幼少期の「躾」が成人期に影響を与えたように描かれていますが、実際の所は不明)ここでの母親役アリソン・ジャニーの迫真の演技は一見の価値があります。
・成人期のスケートの演出は、他に類を見ないほどリアリティがあると思います。撮影方法の工夫と演者の表現で、十分見れるクオリティを実現しています。
・首をひねらない場所がないわけではないものの、重いテーマの中にも笑いどころが用意されていて、飽きない121分になっています。
・本作は、ナンシーケリガン事件の「真実が明かされる」(これは日本語サイトの宣伝文句)というよりは、ハーディング側の視点で再構成を試みたという方が適当で、事件をどう捉えるのかという問題を提起するものだと感じています。
《おまけ》
ハーディングの現在の姿
映画の最後に、現在は7才の子をもつよき母(原文ではgood mother)であることを皆に知ってほしいという文が流れて終わります。ハーディングをスケート史の中で、ひいてはアメリカの女子選手としてどのように位置づけるか、そのようなことを考えさせてくれる映画でした。